札幌市白石区の創業・起業の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
起業に関する勉強会などがたくさんあると思うのですが、いきなり「債務超過」の話なんて教えてくれません。
私自身起業しようとする人に債務超過の話をすることは、今までしたことはありません。
実際に事業を始めた後に債務超過とはどういうことなのかを知ったのでは遅いということに気が付いたのでこちらの創業・起業の情報サイトで書いてみようと思います。
(目次)
1.一般的なイメージの債務超過とは「お金を借りすぎたこと」
2.本当の債務超過は○○の状態
3.法人設立の注意点につながる債務超過(資本金ていくらにしたらよいですか?)
1.一般的なイメージの債務超過とは「お金を借りすぎたこと」
一般的な生活をしていると債務超過(さいむちょうか)という言葉を使う場面はないですよね。
しかし、経営者になると「債務超過」という言葉の意味をしらないと大変な問題になります。
債務超過という言葉を聞く機会があっても自分の理解と本当のいみにずれがあると情報は曲がって入ってきてしまいます。
例えば、「なし崩し」という言葉。
この言葉をポジティブな意味でとらえる人よりも、なんとなく「うやむやにする」を思い浮かべる方のほうが多いかもしれません。
実際に意味は「少しずつ片付けていくこと」ということらしいです。
このように発信側の思い描いている言葉と受け取り側の知識にずれがあると、結論が大きく歪んで到達してしまう訳です。
経営者の中で「債務超過」という言葉を正しく理解していなければ、そうならないようにするためにどうしたらよいかという考えが変わってしまうのです。
債務超過という言葉を文字でそのまま見ると「債務が多すぎる」というように見えます。
つまり、「借金をしすぎた状態」ということになります。
一般的には「1000万円も借金なんてするから、あの会社は債務超過になって倒産した」というイメージで話ができるわけです。
それは1,000万円もお金を借りたら、返すのが大変で倒産したというイメージは沸きます。
2.本当の債務超過は○○の状態
もう一度「債務超過」という字を見てみましょう。
債務が超過しているわけですが、何に対して超過しているのかを考えてみましょう。
この「何に対して超過しているか」がわかると正解にたどり着きます。
正解は・・・・。
自己資本に対して赤字が超過している状況が債務超過という状況です。
「借金はどこに行ったんだ?」といいたくなりますが、そこはうまいこと処理してください。
自己資本というのは、貸借対照表の右下のあたりに出てくる「純資産の部」という項目です。
純資産は「資本金」+「繰越利益剰余金」というものを足したものになります。
資本金とは会社を始めるときに会社の元手として入れた財産です。(増資をしていない場合)
繰越利益剰余金というのは、開業してから今までの利益や赤字の合計です。
つまり、会社の元手で過去の赤字を補えない場合に、純資産の部が赤字になるという訳です。
元手を食いつぶしてしまっているので、債務(銀行借入や未払の債務)で補っている状態が債務超過ということになります。
債務超過になると銀行融資などの資金調達をしようとする場合に不利になります。
銀行は自社でリスクをとって融資をするプロパー融資というものがあります。
このプロパー融資は債務超過の会社には難しくなります。
債務超過を解消するには次の2つの方法があります。
①黒字を続けて利益で債務超過を脱出する
②増資をして自己資本を増やすことで債務超過を脱出する
増資で債務超過を脱出する方法はなかなかハードルが高いものになります。
債務超過を解消する目的が資金調達という場合は、そもそもそれができるなら融資を打診する必要がない可能性が高いからです。
そんな時には、収益改善をして返済できる計画を立てて日本政策金融公庫の融資打診をする方が可能性があります。
3.法人設立の注意点につながる債務超過(資本金ていくらにしたらよいですか?)
ここでようやく、このサイトの創業・起業というところと話がつながります。
法人設立を考えられている方から一番多いと感じる質問です。
「資本金はいくらにしたらよいでしょうか?」です。
先ほどの記事を読んだ皆さんであれば答えがわかっているはずです。
もしも専門家にこんな回答をされたのであれば、皆さんのほうがわかっていると思います。
①一般的には100万円くらいあれば・・・。
②今は1円から会社が作れますよ。
③昔の有限会社と同じくらいの300万円くらいで。
④昔の株式会社のように1,000万円くらいで。
⑤運転資金の3か月分くらいあれば・・・。
これは資本金をいくらにしたらよいかという話に対して根拠があるようでない回答です。
皆さんはこれから法人を作るとしたら、金融機関から資金調達をしなければならない局面が出てきます。
その時に資金調達の足かせにならないようにするために資本金を考えておくことが重要です。
あまりにも少ない資本金で法人設立をしてしまうと、設立2期目には債務超過になります。
そうなってしまうと、金融機関の資金調達がしにくくなります。
1期目から黒字を出して融資を受けやすい環境を作れればよいのですが、事業がうまくいくかどうかは「お客様が決める」といっても過言ではありません。
もしも、資本金として出せる金額に余力があるのであれば、事業計画ででてしまう可能性のある赤字で債務超過にならない金額は出資しておきたいところです。
個人事業からの法人化の場合には、個人事業時代の実績である程度のコスト予測ができると思いますので資本金の最低限の推定をしやすいと思います。
建設業の場合には、許可の関係上資本金500万円という会社もあります。
資本金として用意できるのであればこの資本金でスタートしてもよいと思います。
あまりにも少額の資本金の場合は債務超過にならないように、少しずつでも利益を増やしていけるようにしましょう。
法人設立段階から経営・資本金について相談したいという方は今すぐご相談ください。
相談電話:011-858-7007
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